スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

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スタハコンシェルジュ発のイベント「アプリのプロトタイプ制作講座」が開幕!

起業のボンヤリした疑問から、起業の準備方法まで気軽に相談できるスタハ名物「コンシェルジュ起業相談」。
コンシェルジュがメンバーからの相談を受けているなか、最近多くなっているというのが「アプリ制作についての質問」だそう。

エンジニアが見つからない……。
制作会社にどう発注していいか分からない……。
エンジニアは見つかったけど、思い通りに進まない……。
コンテンツをどうしていいか分からない……。

などなど、アプリを使ったビジネスを立ち上げたいと考えているメンバーの悩みは様々。
そんな悩みのヒントになればと始動した「アプリのプロトタイプ制作講座」では、ワークショップを交えながら理解を深め、プログラミング初心者でも自分でプロトタイプが作れるようになる段階を目指します。
イベント会場は満員!皆さんの関心の高さがうかがえました。

今回のイベントレポートでは、5月25日に開催された第1回目の内容をお届けします!

 

第1回目のテーマは「アプリの企画から設計図まで作ってみよう」

今回のゴールは、アプリ制作一連の流れを理解すること。
講師はWebサービスを得意とする戸田江里子コンシェルジュです。
※プロフィールは、起業相談ページをご覧ください。
https://startup-station.jp/m1/concierge/

講座前半は、アプリ制作の基本をレクチャー。
まずはアプリの種類紹介から始まり、アプリの作成手順、そしてプロトタイプの重要性へと流れていきます。戸田さんの経験上、仕様書作成~動作検証までの「作る作業」よりも、このあとに待っている「ストアに申請~プロモーション活動」の方が大変だそう。

なぜプロトタイプが重要か?

戸田さんは「洋服を作る際の型紙」と例えて説明されました。洋服を作る際、デザインや寸法が定まらずに布地を切ってしまうと、あとで変更したくなったときに時間やコストがかかってしまう。そうならない為にも納得のいく型紙を作ること。型紙であればいくらでも修正がきくので、イメージユーザーの意見を聞いて素早く修正、反映ができるそうです。

プロトタイプ作成のポイント

・プロトタイプに機能を詰め込まない
・主要な機能のみに絞る
・完璧を求めない
・変更はあること前提に
・ユーザーの感想を必ず聞く
戸田さんは「完璧にしようとする人が多いけど、プロトタイプはあくまで仮。型紙ですよ!」と強調していました。

ストーリーボードを作りましょう!

戸田さんが「絶対に作ってもらいたい!」というストーリーボード。これはユーザー体験を四コマ漫画のようにストーリー化したもので、共感を得て、誰にでも分かるものにすることがポイントだとか。ストーリーといっても説明文は不要。吹き出しのなかにハートマークを描くだけで嬉しい感情は分かります。色や写真は印象が残りやすいのであえて入れずに作成します。絵心がなくても大丈夫!丸、四角、点、線で描けばOK。大きな丸を描いてそのなかに「^^」や「><」など記号を入れれば感情的な表情に!

このあとはワークショップに移ります。
最初のワークショップは「アプリのストーリーを考えよう」。2分間で4~5行ほどのストーリーを考え、2人1組のペアで話していきます。参加者の皆さんは、スマホで画像を見せたり、メモを見せたり、身振り手振りで楽しそうに伝えていました。

続いてのワークショップは、「ペルソナ(主人公の具体像)を考えてみよう」。架空でも実在の人物でもかまわないので、具体的に考えることが大事だとか。そのポイントを踏まえて、隣の席の人と3分間の簡単なプレゼンテーションをしました。

講座前半、いよいよ大詰め。画面遷移作成のレクチャーに入ります。
(※画面遷移とは・・・サービスの全体像を捉え、画面間の相互関係を示す時に使われるツール)

画面遷移作成のポイント!

・目的:ストーリーボード、ペルソナを元に作成したフローダイアグラムを実際の画面に再現する。
・主要ツール:段階に分けて使い分ける。
戸田さんはひとつのヒントとして、「人気アプリの遷移を参考にするのがオススメ!」とおっしゃっていました。

プロトタイプ作成のまとめ!

・ユーザーの声を忘れずに!
・完璧は目指さない
・時間をかけない
※プロトタイプ作成→検証→修正→プトロタイプ修正、この繰り返しを素早くすること!

ゲストスピーカーの登場!

後半は、家事代行マッチングサービス「タスカジ(https://taskaji.jp)」を運営する、株式会社タスカジの代表取締役社長、和田幸子さんから、制作体験談をお話しいただきました!

2014年7月にサービスインしたというタスカジ。現在、利用者は約54,000名、登録ハウスキーパー数は約1,900名(2019年6月現在)と順調に増えています。
立ち上げ当初は外部委託で、システム開発会社に依頼して作成したそうです。和田さんの前職はシステムエンジニアで、当時はBtoBの会計パッケージソフトウェアをプロマネしながら作っていたとか。そのときのノウハウを使いながら設計書を作り、それを外部のシステム開発会社に渡し、設計書通りに作成していたそうです。

戸田さん(以下T):設計は和田さんご自身で作り、プログラムを組むのは外注とのことですが、作成期間はどれくらいかかりましたか?
和田さん(以下W):7ヶ月くらい。というのも、途中で開発会社が変ったからです。最初は4ヶ月くらいを予定していましたが、結局完成するまでに7ヶ月かかりました。

T:外注先を変えた理由は?
W:資本金200万、そのうち150万円をシステム開発費にかけました。100万円で作成してくれる外注先を探し、やっていただけると話しがまとまりましたが、当初伝えていた機能からアレもコレも追加したいと膨れていったこと、そして最初の設計書にミスがあったことも分かり、もう一度設計書を出し直すという複雑なやりとりが発生しているなか、開発会社さんも「これ以上この予算では作れない。」と断られてしまいました。そこから知り合いの知り合いをたどり、引き続き開発してくれる会社を探して、なんとか完成させました。

T:お仕事を受けてくれる会社さん、見つかった理由はいま振り返ってありますか?
W:熱意とそのとき描いていた夢。「こんな機能を作りたい!」という夢はありましたが、現実的な予算があるので、この金額ではこの機能までしか作り切れないとなります。そこで外注会社さんから「どの機能を絞りますか?」と聞かれ、そのときにググッと範囲を絞り込めたことです。最初はけっこう夢を描きがちで、その思いはどんどん膨れていき、アレもコレもと機能が増えていきますが、やっぱりどこかでこれさえあればサービスインできるという最低限のものを頭におきながら、最終形を設計していくというのが重要だと思います。

T:バージョンアップなどをするチーム編成は?
W:現時点は開発チームにエンジニアが2人。品質、UI、UXなどをチェックして、これでリリースしてOKだと最終決定する責任者は私です。

T:エンジニアの採用は大変でしたか?
W:非常に難しかったです。エンジニアを1人丸々抱えるとなると、収益がちゃんと上がり続けているビジネスにならないと難しい。シェアリングエコノミーは取引金額が大きくなっても売り上げは20%前後くらい。収益がすごく少ないんです。まして私達が参入した家事代行市場の中の共働き世帯セグメントは既存の市場セグメントがなかったんです。新しく市場セグメントを作りながらサービスインしたので、市場の伸びがとても緩やか。そのなかで開発を続けるためのリソースをどうするかという問題がありました。結果として、フリーランスや外注先を見つけ、少しずつその方たちのリソースを増やしていってもらいました。

T:前例のないサービスですが、何か参考にされましたか?
W:シェアリングエコノミーのサービスをやろうと決めていたので、シェアリングエコノミーのサービスはいろいろ参考にしました。そのなかでも一番近かったのがAirbnb(https://www.airbnb.jp)です。

T:サイトは作って終わりでなく、メンテナンスがあったり、OSのバージョンアップがあったり、どうしても直さなきゃいけないところが出てきますが、担当は決めていますか?
W:個人情報を扱うのでセキュリティチェックやサーバーのメンテナンスは随時行っています。また、セキュリティチェックは専門性の高いものなので、外部の専門家にチェックしてもらうサービスを利用しています。

T:タスカジがユーザーに愛されるサービスに育ってきた理由は?
W:シェアリングエコノミーというカタチを取ったので、ハウスキーパーさんと利用者さんが個人でコミュニケーションをとれるようになり、自分流にカスタマイズでき、自分の家庭に合わせてフィットしていけます。家事代行というのは家庭のなかに入ってくるものなので、そういったところが理由だと思います。

以上、和田さんからタスカジの苦労話を赤裸々にお話しいただきました! 描く夢と現実、資金、人材、悩ましいことは多々あるものの、「売り上げが上がる範囲でやれば絶対に倒産しない。いつか日の目をみると信じてやっていた。」とおっしゃっていたのが印象的でした。

連続講座第1回目は、戸田さんによるプロトタイプ作成講座、和田さんによるタスカジ制作体験談と濃密な内容でした!

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