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VCからの資金調達で気を付けたいこと

コンシェルジュ通信では、スタハで実施しているコンシェルジュ起業相談の事例をもとに、少し発展的なトピックスをご紹介します。
今回の担当は、牛尾靖成コンシェルジュです。

VCからの資金調達で気を付けたいこと

Q:VCからの資金調達を考えています。予め知っておくべきデメリットはありますか?

A:企業の創業期や初期の成長段階において、規模の大きい資金を銀行から借りることは現実的に困難です。 VC(Venture Capital)は、企業がそのような段階にあっても、特に高い新規性と成長性が見込まれる事業に対して積極的に資金を供給する金融機関です。 事業アイディア実現のために、自己資金では到底賄えないようなシステム開発や人材の採用等が可能になり、非常に頼りになる存在です。

一方で、VCから資金調達するデメリットとして、一般的に持ち株比率の低下と経営の独自性低下等と言われていますが、よりストレートに言えば、10年を目処に投資家の資金を最大限に増やすという約束をすることです。極端な例ですが、創業者が考える事業目的と投資家の期待(短期的な投資資金の増加)にズレが生じた場合、その時会社が置かれている状況や持株比率によっては創業者独自の意思決定がしにくくなる可能性もあります。(株主総会やオブザーバー参加の取締役会でトンチンカンなアイディア提案や、強引な人の紹介・斡旋等もあったりします。)

このような約束は、VCから出資を受ける際に締結する投資契約書または株主間契約書とよばれる契約書の中で行われます。
契約書に盛り込まれる主な内容は以下の通りです。
・企業価値を最大化し、投資家の資本を増やす最大限の努力をすること
・5年から10年までの間に、投資家の持ち分売却の機会(エグジット)を提供すること
・重要な経営判断に関して投資家と事前に協議すること
・計画を大幅に下回った場合、投資家が会社または創業者に株式持ち分の買取を請求できること

なお、VCのエグジットはIPOとM&Aが一般的です。
リーマンショック前くらいまでは、起業して3~5年くらいでIPOし、VC等投資家がキャピタルゲインを得るようなことも多く見受けられましたが、2018年8月までにIPOしたベンチャー企業41社のうち創業5年以内に上場したのは6社で、最近はIPOによるエグジットは以前に比べると著しく減少傾向にあるようです。もともとIPOは、公開前の投資家がキャピタルゲインを得ることためのものではなく、広く一般の投資家から成長資金を調達することにあり、そういう意味では本来の目的に近づいてきていると言えます。

一方でエグジットとしてのM&Aの増加傾向は顕著で、特にアメリカでは完全に定着しています。 日本でも5年後くらいにはスタートアップ・ベンチャー投資のエグジットとして一般化するものと思われます。従いまして、VC等投資家から資金を調達するということは、将来M&Aによって他のファンドや事業会社の傘下に入ったり、自らの持ち分も同じタイミングで売却し事業全体を譲渡したりするようなシナリオを予め想定しておく必要があります。

コンシェルジュ 牛尾靖成

 


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