コンシェルジュ通信では、スタハで実施しているコンシェルジュ起業相談の事例をもとに、少し発展的なトピックスをご紹介します。
5回目の担当は、今泉裕美子コンシェルジュです。

アプリゲームの開発・販売で起業。開発資金の調達はどうしたらいい?
Q:アプリゲームの開発・販売で起業したいのですが、開発資金の調達はどのようにしたらいいでしょうか?ゲームの内容には大変自信をもっています。
A:銀行や日本政策金融公庫からの融資で調達(デット・ファイナンス)するか、投資家や事業会社からの出資で調達(エクイティ・ファイナンス)するかによって考え方は異なります。
融資の場合
ゲームコンテンツ1本のプロジェクトに対する融資を実現するのは少しハードルが高めであることを意識してください。なぜなら、ゲームコンテンツは“ヒットして売上が上がり開発等のコストを回収(リクープ)して利益が出る”という結果に必ずしも計算通りに結びつかないことが往々にしてあるからです。実績があるゲーム会社が複数本の力作を開発・販売する計画、つまり“ポートフォリオ”を持って、“ゲームの当たりはずれのリスクを結果的に下げる計画”に基づいて、事業の成功確率を上げて提示できるのならば、融資の可能性は高まります。しかしたった1本のコンテンツのプロジェクトに対して融資を申し込んでも、貸す側としては返済力の根拠を見極めにくいのです。
一方で、融資を実行できているゲーム会社も数多くあります。融資成立の確度を上げられるパターンとして、当該プロジェクトの資金調達のみを目的とした融資申込みではなく、返済力の根拠となりうる定期的な収益源(受託業務等)を含めた事業全体の資金調達を目的とした融資申込みである場合が挙げられます。融資では「コンテンツがいいから融資してください」という理屈は通りません。いかに返済能力があるかを根拠とともに整備することが重要です。
出資・投資の場合
法人株式への出資と、プロダクトや事業へのプロジェクト出資の二通りがあります。法人株式への出資では会社の株式の一部以上を渡すことになるため、長期的な資本政策に基づいてリスクのない調達を考えていく必要があります。
プロジェクト出資は、プロダクトが強力であれば可能性があります。まさにコンテンツとそのプロジェクトそのものに対する出資ですからコンテンツの良し悪しや成功確率が説得材料になるケースが多いです。しかしながら、純投資家やVCは必ずしもコンテンツの専門家ではありません。アプローチする出資者としては、その分野のプロであり目利きの力量を持つ、同業や関連の事業会社が有力な候補となるでしょう。
まとめ
上記は、ゲームだけでなく映像などのコンテンツについても共通して考えられることです。コンテンツビジネスの成功には、いいコンテンツを創造・提供が大前提ですが、それだけではなく資金調達と利益創出を含めたプロデュース力も必要です。
コンテンツは、人に楽しんでもらいつつヒットすればビッグビジネスになる可能性がありますし、“好き”を仕事にできる貴重且つ魅力的なジャンルです。皆様のご活躍を応援しています。
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