スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

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伝われ、パッション!人気メディアの元編集長が語る「ファンづくり」のキモ

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事業や商品・サービスの認知度アップにもつながる「メディア発信」
起業家としてもかなりチカラを入れたい「発信力」ですが、メディア運営の現実はなかなか厳しいもの。
そこで今回は、月間PV数400万を誇る「ソトコトオンライン」の元編集長が登壇したイベントを追いかけました。
人気メディアの運営体制やマインドから、成功のヒントを見つけていきましょう!

講師プロフィール

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北野 博俊氏(株式会社ソトコト・プラネット)
建築構造設計から教育系人材、不動産ベンチャーを経てwebマーケティング会社にてマーケティング部立ち上げを経験。現在、株式会社ソトコト・プラネットにて全体のデジタルシフト、新規事業推進を担当。

 

ソトコトって、どんなメディア?

地方創生+SDGsを発信する「ソトコト」はひらめきの宝庫!
起業家のワクワクする気持ちを刺激するメディアです。

 

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※(上)雑誌の創刊は1999年(写真は最新号)/(下)オンライン「 sotokoto online」は2019年4月よりスタート。

「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとした、未来をつくるSDGsマガジン。地元を盛り上げたい!地域と関わりたい!移住したい!周りの人たちと楽しいことがしたい!持続的に社会へ貢献したい!そんな日本各地の、そして世界のソーシャルグッドな話題を届けているメディアです。また、メディア発信だけでなく、各省庁や各地方自治体と様々な取り組みもしているので、地方創生やSDGs、地域づくりに興味のある方はぜひチェックしてみてください。


www.youtube.com
↑ソトコトはYouTubeでの動画配信も活発的!
上記の動画は、環境省とソトコトがタッグを組み、ローカルならではのSDGsな取り組みやローカルの未来を紹介するオンライントークセッションです。

ソトコトから学ぶ、「メディアの立体化」とは?

「伝えたいことはなにか?」を明確にし、媒体(メディア)の枠を超えてあらゆるプラットフォームで伝えていくこと。これが、北野先生の考える「メディアの立体化」という定義です。メディアの形は、古くからだと紙媒体、いまだとWebメディア。さらに動画や音声などの「体験」も入ります。北野先生は、ソトコトの核となる部分を伝えられる手段はすべて「メディア」と考えているそうです。

みなさんは、「伝えたいこと」が明確になっていますか?
メディアは伝えるための手段です。今回のイベントレポートでは、その手段を設計する上で大事な「3つのポイント」をお届けします!

【今回のキーワード】
①コンテンツ設計
②運用体制
③目線

①コンテンツ設計について

月間PV数400万メディアを誇る「sotokoto online」のコンテンツ設計はどのようなものでしょうか?人気のヒントはここに隠れているかもしれません。

ソトコトのコンテンツ設計は下記三本柱!

1.本誌転載記事(核)

北野先生「ソトコトオンラインは、もともと雑誌から始まっているので、本誌の内容を転載することが基本であり核となる部分だと考えています。」

2.ローカルライターの記事(裾野を広げる)

北野先生「全国各地にいるローカルライターが“地元の良いこと・面白いこと・伝えたいこと”を記事にしています。ここは“裾野を広げる”という位置づけ。本誌はページ数に制限があるため内容はかなり厳選されています。そこに載りきれなかったもの、雑誌の編集部が探しきれなかったものはこの世にごまんとあり、それらをローカルライターに取材してもらい、発信しています。」

3.ニュース記事(認知を広げる)

北野先生「日々の世の中にあるソーシャルグッド、もしくは、これは世の中に対して必要だという内容を毎日発信しています。こういったニュース記事は、ソトコトオンラインの認知を広げるという役割もあります。」

北野先生がおっしゃる「核」となる部分は、事業でいうところのミッションビジョンです。その周辺を拡張するものが、本誌では掲載しきれなかったローカルライターの記事。またYahoo!、SmartNews、Gunosyにも掲載している記事は、ソトコトを知らない人が流入する「入り口」という役割があります。「入り口」→「周辺」→「核」という流れがしっかりあるのが、ソトコトのコンテンツ設計のポイント!

あるある!陥りやすいワナ…

コンテンツを設計する際に「陥りやすいパターン」が2つあるそうです。1つめは「こだわりすぎる」こと。「こういうことを伝えたい!」と内容に特化した記事の場合、こだわりすぎると範囲がすごく狭くなり、見てほしい人に届かなくなる可能性があるのだとか。ある程度こだわりから派生するものを入れていく。それをするには「こだわりを分解」し、こだわるべきところ、そうじゃないところを明確にすることが大事だそうです。

2つめは「考えなさすぎる」こと。例えばSEO検索で上位を狙うためキーワードを洗い出す作業がありますが、このキーワードをちゃんと考えることが重要。メディアの「核」となる伝えたいことにつながるのか?メディアとして何を大事にし、どういう人のどういう問題を解決したいのか?どんなふうに喜んでほしいのか?これらを考えないと、流入がどれだけあってもサイトの訪問者にとって価値を生まないメディアになってしまいます。

②運用体制について

前述したようにソトコトのコンテンツ設計は「本誌転載記事」「ローカルライター記事」「ニュース記事」になりますが、その運用体制はどのようになっているのでしょうか?北野先生はソトコトの特徴として「アウトバウンドで仕事をすることはない」とおっしゃいます。

北野先生「ソトコトでは、クラウドワーカーに外注するといったことはありません。こちらから依頼するのではなく、自分からやりたいと応募してきた方に記事を書いてもらっています。やはり想いを共有しながら運営することが重要です。」

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※ソトコトの運営体制図※

北野先生「ソトコトは分断させない体制を大事にしています。企業・事業については、ミッションビジョンの延長線上にすべてがないと成り立ちません。これはよく本でもいわれていることで、運営体制にも同じことがいえると考えています。オンライン編集部、ローカルライター、はみな同じ方向を向き、分け隔てなく同じように記事を書いて発信しています。ローカルライターは、記事が掲載されると自発的にツイートし、地域の方々や取材先の方々がシェアしてくれます。これは同じ価値観を共有しているからこそ起こることであり、愛情のある記事にはファンがつくことから、ファンづくりの基本のキでもあります。まずは内輪ノリでもいいので、同じ方向を向いてワイワイ楽しくやるというのが、運営体制で大切なことだと思います。」

③目線

これまでは設計時のポイントをお伝えしてきましたが、ここからは編集的な視点のお話しになります。北野先生は「編集は目線が大事」と強調し、記事を書く上で大切なことをこう教えてくれました。

その記事は、誰の目線か? 
記事を読む人は誰なのかを徹底的に考える。

北野先生「これは本当に大事なことです。情報を発信する側にいると、自分を棚に上げた記事を発信しがちです。みんなこれ知りたいでしょ?といった、得意げな記事を書きがち。これだと受け入れてもらえないし、人を傷つける可能性もあります。記事を読んだことで、受け手がどう思うか、どんな行動をとるのか、徹底的に考えたほうがいいです。

徹底的に考える要素として、オンライン編集部で大切にしている「編集の10箇条」をご紹介します。

1箇条目:わかりやすい内容ですか?

2箇条目:文脈がつくられていますか?

3箇条目:伝えたいことを絞りましたか?

4箇条目:個人の気持ちが込められていますか?
→個人の気持ちというのは熱量のこと。コタツ記事(記者が取材対象者に直接取材を行わず一次情報を元に執筆した文章)でも、徹底的に調べ上げて熱量があれば面白い記事になるそうです。

5箇条目:読む人の気持ちを考えていますか?
→目を引いてもらうために過激なことを書くというのは、特にウェブメディアではやってしまいがちなこと。読んだ受け手を傷つけてしまうこともあるので注意。

6箇条目:文章に頼りすぎていませんか?
→文字だらけの記事だと、読んでいて疲れてしまいます。記事の内容の情景が浮かぶように写真を入れてあげると◎。

7箇条目:自分の大好きな言葉や写真を使っていますか?
→自分の大好きなものや大切にしている思いは、ちゃんと受け手に伝わるので、自分の好きなことは意識的に取り入れることが大事。

8箇条目:その土地への愛情が詰まっていますか?
→「土地」と表現していますが、置き換えると「こと」になります。記事で取り上げた「こと」への愛情がないと、読んだ人が悲しくなる可能性もあります。受け手が「この記事はちゃんと私たちのことを考えてくれている」と伝わるような記事にしましょう。

9箇条目:未来を向いていますか?
→人はどうしても失敗談や人の裏話が好きで、そういう内容じゃないと読まれないというのは一理あります。しかし、ネガティブなまま終わらせてはダメ。入り口はどうであれ、ちゃんと未来を向いた、読んだ人が次に向かいたくなるような内容にしないと、嫌な気持ちの
まま離れていってしまいます。

10箇条目:おもしろい内容になりましたか?

以上が、編集の10箇条でした。
この全10項目を徹底的に考えるとすごく良い記事になり、たとえ文章が稚拙であったとしても伝わる内容になります。この10箇条に向き合い、読む人が未来志向で楽しく、次につながるものが得られた、ほっこりした、記事を読んでよかったと思えるような記事でメディアを固めていくことが大事だそうです。

最後に北野先生は「一番大事なこと」として、再度こうおっしゃいました。

記事を読む人は誰なのかを徹底的に考え、自分自身も楽しくやること。

徹底的にやる、というのはなかなかキツイもの。
だからこそ、キツイなかにも楽しさを見つけないと、続けられません。北野先生は「自分なりのモチベーションの源泉を見つけながら楽しくやっていくことが大事」だとおっしゃいます。今回のイベントレポートは、北野先生の情熱や熱量の部分にフォーカスしました。
メディア運営の根源となる情熱の必要性が伝わればと思います。

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