コンシェルジュ通信では、スタハで実施しているコンシェルジュ起業相談の事例をもとに、少し発展的なトピックスをご紹介します。
今回の担当は、宇津木聡子コンシェルジュです。
コンシェルジュ 宇津木 聡子
広告会社(現㈱I&S BBDO)勤務を経て、ウォルト・ディズニー・ジャパン㈱に入社。当時発足直後であったインターネット事業部門にて、広報・マーケティング業務に携わる。その後NHN Japan㈱で新規事業開拓・マーケティング業務に携わった後、独立し、㈱スターグレインを設立。スタートアップ企業を中心に、マーケティングや広報に関するコンサルティング活動を行っている。また「食・住まい・ライフスタイル」を軸としたイベントやコンテンツの企画プロデュース、店舗・売場・展示会等の企画支援にも活動の場を広げている。
<所属団体・資格等>
テーブルコーディネーター
国際唎き酒師
ターゲット像やニーズが今ひとつ明確に見えてきません。どのように考えていけばよいですか?
Q: 仕事や家族のことで忙しい40代~50代女性の健康維持を支援するサービスを考えているのですが、ターゲット像やニーズが今ひとつ明確に見えてきません。どのように考えていけばよいですか?
A: さまざまな商品やサービスがあふれ、情報収集や購買方法も非常に多様化している昨今、新規商品やサービスの開発において、ターゲットとそのニーズを的確にとらえることは非常に重要です。
【1】ターゲティングとニーズは、掘り下げて鮮明に考える
ターゲティングの掘り下げ
ターゲティングとは“どんな人に、サービスや商品(以降、プロダクトとします)を提供するのか”を戦略的に設定することであり、これを誤るとプロダクトや戦略の方向性がぶれてしまいます。「仕事や家族のことで忙しい40代~50代女性」という設定を考えてみると「未婚/既婚」「子供の有無」「親と同居/別居」などなど、さまざまなライフスタイル、価値観、行動パターンを持つ人たちが多く混在しており、簡単に一括りにはできません。より戦略的にターゲティングを掘り下げる必要があるでしょう。
ニーズは「なぜ?」「どうして?」で洞察する
ウォンツとニーズという概念があり、ウォンツ=手段、ニーズ=目的と捉えることができます。「健康でいたい」はウォンツ、そこにあるニーズとは例えば、自身が健康を維持することで「新しい趣味にチャレンジしたい」だったり「いつまでも美味しいものを食べ続けたい」だったり……ということになり、提供するサービスは、そういったニーズに応えるものを設計しなければなりません。ニーズは往々にして、顕在化していないケースが多いため、それを探るには、ウォンツから潜在するニーズを洞察する必要があります。ウォンツに対して「なぜ?」「どうして?」を考えるのがその洞察の方法です。健康を維持したいのは「なぜ?」、健康を維持できると「何が良いのか?」。当たり前と思わずに、そこを掘り下げて考えてみることが大切です。
幅広い層のニーズに向けた方が販売機会も増えると感じがちですが、ターゲットを掘り下げてニーズを捉えることは、プロダクトの「しっかりとした背骨」の“密度・深さ”をつくることになるのです。
【2】ターゲティング、ニーズ明確化のアプローチ
(1)ターゲティング:ペルソナ設定
想定ターゲットとして架空の人物(ペルソナ)を、年齢・性別はもちろん、仕事、家族構成、居住地、趣味、価値観等にまで具体的に設定するアプローチです。その人物の目線でさまざまな状況や心境をイメージすることで、顧客像がよりリアルに浮かびあがり、プロダクト設計におけるさまざまな意思決定をするのに有効です。Webで検索するとペルソナ設定例を数多く見つけることができますので、参考にしてみてください。
(2)顧客体験の視点に立った「SAVE」というアプローチ
これまでのマーケティングアプローチに、4Pや4Cと言われる方法がありました。
4P=製品:Product、流通:Place、価格:Price、広告宣伝:Promotion
(プロダクト寄り、やや売り手目線)
4C=顧客価値:Customer Value、購入コスト:Cost、利便性:Convenience、コミュニケーション:Communication
(4Pより顧客目線に立ったアプローチ)
さまざまな商品やサービスがあふれ、従来型の広告以外にもSNSなどさまざまな方法で情報収集をする中で、「顧客体験目線」に立った“SAVE”というフレームワークも提唱されています。
SAVE=解決:Solution、接触:Access、価値:Value、啓蒙・教育:Education
SAVEの4つの要素は、ペルソナ設定からターゲット顧客像を深堀し、以下のようなステップで整理していくとわかりやすいでしょう。
顧客の抱える課題、行動をいかにとらえるかの重要性はますます高まりつつあります。日ごろから、さまざまな発表統計データ、ニュース、街中で見かけることなどにアンテナを張り、得る情報に「なぜ?」「どうして?」という意識を持ちたいものです。時には他の人とディスカッションしてみることも有効です。
ご自身が計画しているプロダクトの顧客像やニーズについて、迷うことがあれば、ぜひコンシェルジュ相談をご利用ください。
起業相談では、起業にまつわる様々な課題をご相談者とディスカッションし、客観視点からアドバイスを行います。ぜひご利用ください!