スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

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TOKYO創業ステーションの先輩起業家に聞く!スタView!#5

スタView!とは、TOKYO創業ステーション(以下:TSS)を利用して起業した”先輩起業家”をお招きし、起業のアイデアを実際に事業化するまでの道のりをコミュニティマネージャーがインタビュー形式で紹介するイベントです。


今回登壇してくださったのは、株式会社EBRU 代表取締役の佐藤 怜さん。取り組まれている事業について、そしてTSSをどのように利用されたのか、また役に立ったサービスなどについてお伺いしました!
 
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起業家プロフィール

佐藤 怜氏(株式会社EBRU 代表取締役)

金沢美術工芸大学工芸科卒業後、イタリアのAccademia Costume e ModaにMA留学。現地テキスタイルメーカーでインターンを経て19年に帰国。欧州のファッションコンテストITS2020 Swatchアートワーク賞を受賞。並行して取り組んでいた国内アクセラレータープログラムを経て、21年4月に大学時代の同級生3人で株式会社EBRUを設立。アートを軸にファッションや音楽、カルチャーを掛け合わせ新たな価値を創造することで、文化芸術の持続可能な発展を目標に2023年EARMINDをローンチ。

株式会社EBRU【URL】https://www.ebru.jp/

佐藤さんの起業までの流れ

2020年11月 TOKYO創業ステーション登録
2021年1~3月 プランコンサルティング利用
2021年4月 株式会社EBRU設立

事業内容について教えてください

佐藤さん「株式会社EBRUは、ファッション・工芸・造形を経験した美術大学出身の仲間3人で2021年に設立しました。人と文化芸術との新たな関わりを生み出すことを目的としています。

最初に生み出したプロダクトは、『EARMIND』というワイヤレスイヤホンです。ただのイヤホンではなく、デザイン部を"耳元の小さなキャンバス”として、国内のアーティストや職人さんと1点ずつ丹精込めクラフトワークで生み出しています。音楽を聴くだけでなく、美術を楽しみ、且つそれを身にまとってファッションとしても楽しめるデバイスです。

美しいクラフトワークに対して適正な価格を製作者に還元することで、持続可能な制作を実現しながら、長く愛されるものづくりを目指しています。」

株式会社EBRUの商品「EARMIND」。1点1点作られ、シリアルナンバーが入った本革レーベルタグが付属される。

起業を意識したのはいつ頃ですか?

佐藤さん「大学時代から3人でものづくりをし、お店に卸して販売する活動をしていました。私はファッションで留学し、他のメンバーは焼き物や造形関係とそれぞれの道に進んだ中で、ものづくりの現場の労働環境や賃金など、共通する課題が見えてきました。今の起業に繋がるアイデアを検証するスタートアップスタジオに入り、約1年の検証を経て起業しました。」

TSSを利用し始めた頃、一番の課題や不安はなんでしたか

佐藤さん「起業前にアイデアのニーズを検証するためクラウドファンディング(Makuake)を試したところ、目標30万円に対し、2か月で約235万円が集まりました。驚きとともに、これはニーズがありそうだと分かり、資金調達して開発を進めるため法人化する必要がでてきたのです。

とはいえ、会社にするって……?と、わからないことだらけでしたね。社会人経験もないままスタートしたので、会社の形態もよくわからず、本を読んだり周囲の起業経験者に聞いたりしながら解決していきました。」

TSSで特に役に立ったサービスを教えてください

佐藤さんプランコンサルティングという事業計画書の作成支援サービスを利用しました。顧客の深掘りなど、今では当たり前にやっているようなことを一から手取り足取り教えてもらいました。ターゲティングが商品や販売先、価格などすべてに影響することも話す中で理解していき、自分たちが認識していないことが沢山あるのだと気づかされました。

初期投資が大きく必要な、資金調達を伴うビジネスでしたので、クリエイターのスモールビジネスの範疇ではないと言われたことで意識が切り替わりました。」

起業までの間で大変だったことはなんですか?

佐藤さん「少ない人数、限りある資金というリソースが限られた中でどのように取り組んでいくのかは、起業前から常にある問題です。ゼロから探りながらスタートしたのですが、正社員として働きながらのメンバーもおり、時間の面でも両立は大変でした。お互い動ける時間に作業を分担したり、スタハのラウンジにある起業に関わる本なども参考にしながら進めていきました。

現在は荒川区にある東京都の認定インキュベーション施設『イデタチ東京』に入居しており、いつでも作業できる場がありますし、定期的にメンターに相談する機会もあり助けになっています。区の方からネットワークのある職人さんをご紹介いただいたり、補助金の情報を得て実際に活用もしました。相談できる相手を増やすことはとても大切だと思っています。」

起業準備期に「もっとこうするべきだった」と思うことはありますか?

佐藤さん「そうですね、逆に知らなくてよかったと思うことがあります(笑)。私たちは2020年にアイデアを持ち、2021年に起業しましたが、なかなか満足いく製品ができずに実際にローンチできたのは2023年でした。はじめからこんなに難しいと知っていたらやらなかった可能性もあり、知りすぎもよくないなと(笑)。もちろん、やめたいとか戻りたいという話ではないです。

また、契約書はしっかり交わしておいた方がいい。これは間違いないです。最初の協業先とは、きちんと契約書を作っておかなかったことで、いろいろ大変でした……。その経験から契約関係や知財に関して勉強し、生産などに関して問題が起こってもどちらの過失かを明確化できるようになり、困ることが減りました。」

はじめて売上をあげた時のことを教えてください。

佐藤さん「最初の売上は、起業前に実施したクラウドファンディングでした。ハードウェアとしては大きな額ではないものの、まだ起業もしていない私にとってはインパクトのある結果で、注文が入る度にメンバーに共有して喜んでいましたね。

その後は、InstagramTwitterなどのSNSを見て気になってくれていた方や、クラウドファンディングで買えなかった方が購入してくれたりしました。いずれにしても、以前に取り組んでいた行動が、購買につながっています。購買は突発的に起こるものではなく、ファンをつくっておく、積極的に発信するということが非常に大切で、今後はこの部分を加速させたいと思っています。購入という形で人に求めてもらうという体験は、何事にも変えられないほど感動するものです。」

今後の展望を教えてください!

佐藤さん「このEARMINDというキャンバスを世界に拡げていきたいです。私たちが取り組んでいる芸術領域は国境の壁がないと考えているので、海外にも展開していこうと今準備を進めています。共創するアーティストも国を越えてコラボレーションしていきたいです。

また大きなところでは、私たちのプロダクトが美術館に収蔵されることを一つの目的にしています。文化芸術分野で得た利益を、文化芸術に還元する財団を作り、循環する世界を作ることが野望です!」

 

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