「Startup Hub Tokyo 丸の内」は、起業の種を見つける場所です。
起業の種を見つけたあと、次のステップとして活用できる支援施設・プログラム・イベント※などを紹介するイベント「スタハのツギ」を絶賛開催中です!
※東京都内の各区町村が運営または東京都公認の施設に限定しています。
第2回目のテーマは「地域密着拠点編」。
地域の特色を活かした施設で、起業を目指す皆さんがさまざまなアイデアを持ち寄りコラボレーションできる環境は、新しい事業を生み出す宝庫です!
今回は東京都の認定インキュベーション施設の中でも、地域と密着し地域内での起業を促進している3つの施設を紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
▼スタハのツギの詳細はこちら
- 今回紹介する「地域密着拠点」
- 飲食業を強みにしたカフェのようなコワーキングスペース「BUSO AGORA」
- 高架下を活用した地域密着型ものづくり複合施設「KOCA」
- シェアハウスのコミュニティを活かした国際色豊かな「RYOZAN PARK」
- 一問一答のトークディスカッションでおすすめポイントをさらに深堀!
- Q.どんな方が入居していますか?
- Q.それぞれのエリアの特性とは?
- Q.ウチだけの自慢の〇〇を教えて!
- Q.見学したいときの方法は?
- さいごに
- グラレコでおさらい
今回紹介する「地域密着拠点」
今回登壇いただいたのは、
- 「BUSO AGORA」(町田)の長谷部 信樹氏
- 「KOCA」(大田区)の茨田 禎之氏
- 「RYOZAN PARK」(巣鴨・大塚)の中島 明氏
の3名です。
飲食業を強みにしたカフェのようなコワーキングスペース「BUSO AGORA」
まず、東京都町田市に位置するコワーキングスペース「BUSO AGORA」からご紹介します。
お話しくださったのは、インキュベーションマネージャーの長谷部 信樹氏。
BUSO AGORAは町田市を中心に50店舗ほど展開する飲食業の会社「株式会社キープ・ウィルダイニング」の新規事業として、2019年8月にスタートした創業支援・コワーキング事業の施設です。現在4拠点のコワーキングスペースを展開しています。
事業を展開する武相エリアのブランドとして、「GOOD LIFE = やりたいこと・好きなことに挑戦する人たちを応援する」という価値観を発信したい、という願いから施設が作られました。
長谷部氏「施設の名前である“AGORA(アゴラ)”は、古代ギリシャ社会で生活の中心となった広場の名前から由来しています。
もともと市民の“集会”の意味であり、市民がAGORAの場所を起点に政治や経済の運営を行い、さまざまな新しい考え方・モノ・コトがこの場所から生まれていったことから、『武相エリアのAGORAにしよう!』と名付けました。」
長谷部氏「交わることで可能性を広げ、夢が加速するコワーキングオフィスとして展開されるBUSO AGORAは、カフェをイメージしたスタイリッシュなコワーキングスペースです。交流イベントスペース・ブース席・個室も完備し、さまざまな用途に対応できる空間では、開放的な雰囲気とコミュニケーションのとりやすさに配慮しています。
入居者の才能とアイデアを持ち寄り、事業者同士のマッチングで新しいコラボ事業が生まれることも楽しさの一つです。」
長谷部氏「BUSO AGORAは、
- ポジティブな空気感
- 挑戦を応援する風土
- 良質なコミュニティ
などの土壌や風土、空気感を作ることが大切だと考え、相談しやすく居心地のいい環境を作り出すことで入居者の事業を加速させることを目指しています。」
高架下を活用した地域密着型ものづくり複合施設「KOCA」
続いては、東京都大田区に位置するものづくり複合施設、「KOCA」のご紹介です。
株式会社アットカマタ代表取締役であり、インキュベーションマネージャーでもある茨田禎之(ばらだよしゆき)氏にお話しいただきました。
大田区は田園調布・蒲田・羽田など、イメージが異なる地区が組み合わさった人口が密集している地域であり、商店街や古い銭湯、町工場もある下町情緒が漂う町並みも特徴です。
KOCAは2019年4月に始まった、京浜急行電鉄主催の梅屋敷駅と大森町駅をつなぐ高架下の開発を目指す「高架下開発プロジェクト」に参画し、創業支援を目指す「ものづくり複合施設」としてスタート。
「町工場×クリエイティブ×商業」をテーマとし、地域を盛り上げるさまざまな取り組みがなされています。
茨田氏「居心地のよさや遊び心も取り入れた複合施設で、KOCA自体も”町工場”になり、ショップボットやレーザーカッターを使えるようにしたり、シェアキッチンでコミュニケーションをとりながらものづくりができる工夫をしたり、たくさんの人が交流することで新しいものが生み出せる空間です。
ただ創業支援するだけでなく、地域の特徴である“町工場”をしっかり掛け合わせてものづくりができることを理想とし、KOCAのクリエイティブ性を町工場に還元することを目指しています。
創業においても、何かを掛け合わせるだけではなく、『この人と仕事がしたい』という人間関係も大事と考え、コミュニティを醸成できる空間を作り出すのもKOCAの特徴です。」
茨田氏「KOCAは、”地域性のあるインキュベーション施設”として、町工場群・商店街・空き家などの地域資源や既存のネットワークも活用しながら再構築することで、地域活性の循環・環境をつくるHUBになることを目標としています。
今後は羽田空港に近い立地も活かし、東京だけでなく地方や世界に向けてプロジェクトを発信できる展望も抱いているところです。」
茨田氏「『ファクトリアライズ』という大田区で生まれたデザイナーと町工場によるコラボレーションプロジェクトも行っています。
KOCAを拠点に、TIG溶接、切削加工、レーザー加工などさまざまな技術に焦点をあて、新たな感性と対話の中から、『今までにない斬新なプロダクトを世界へ発信しよう』というプロジェクトです。
デザイナーと町工場が分断して連携するのではなく、双方が最初から一緒に開発から関わり、ものづくりをしています。」
シェアハウスのコミュニティを活かした国際色豊かな「RYOZAN PARK」
続いては、東京都豊島区の巣鴨・大塚に拠点を置く「RYOZAN PARK」のご紹介です。
インキュベーションマネージャーの中島明氏にお話しいただきました。
2012年にシェアハウスからスタートした「RYOZAN PARK」は、「Life is better shared」をコンセプトとした創業支援施設です。巣鴨と大塚合わせて6つの拠点を構えています。
中島氏「オーナーがアメリカのワシントンで仕事をしていたことがあり、ご家族も日本・スコットランド・トルコの国際色豊かなファミリーです。家族一人一人が受け継ぐ伝統が新しい価値観と混ざり合い、進化することで温もりあるコミュニティへと発展していきました。そのため、外国籍の起業家も多いことが特徴です。」
中島氏「RYOZAN PARKは6つのオフィスがそれぞれ個性的ということもあり、さまざまな雰囲気のスペースを行き来して気分を変えて仕事したり、ピアノのある部屋でイベントやセミナーをしたり、屋上のテラスでバーベキューしたりとコミュニティやワーク・ライフ・バランスにも配慮しています。」
中島氏「寝食を共にするシェアハウスからはじまっているシェアオフィスなので、呑みながら食べながら語り合う機会をとても大事にしていますね。プロ仕様のキッチンも備えていて短期間のレストラン営業ができる仕様になっており、食の起業家たちも支援しています。バーカウンターも併設されており、コーヒーやおでんをふるまったり、飲食を共にするコミュニケーションがRYOZAN PARKにとってとても大切な光景です。」
巣鴨のラウンジではマルシェを開き、地域との交流も行われています。
コロナ禍で全国からこだわりをもった余った卵を集めてマルシェで売ったところ、売り上げが急成長した起業家もいらっしゃり、大きなチャンスのきっかけになることもあったそうです。
地域との交流も大事にしていて、地域の漢方薬局とコラボして身体によいお茶を提供したり、地域の子供たちがレモネードを売ったり、地域密着型の創業支援施設として活動されています。
また、中島氏は豊島区ではRYOZAN PARKを越えた起業家たちとの交流の場「としま会議」の運営にも携わり、起業家のさらなる枠を広げた交流にも貢献されています。
一問一答のトークディスカッションでおすすめポイントをさらに深堀!
3つの施設の紹介のあとは、一問一答のトークディスカッションでさらに詳しく伺いました。
質問した内容は、以下の4点です。
- どんな方が入居していますか?
- それぞれのエリアの特性とは?
- ウチだけの自慢の〇〇
- 見学したいときの方法は?
三者三様の特徴をもつ創業支援・コワーキング施設ですが、さらなる特徴やおすすめポイントをお聞きしましたのでそれぞれご紹介します!
Q.どんな方が入居していますか?
まずは、「ものづくり・多様・実直」と回答されたKOCAの茨田氏からお話を伺いました。
茨田氏「入居者に多いのは、プロジェクトに掲げている”ものづくり”に興味のある人。サービスを提供するよりも、物体として質量を持ったものでアウトプットする人が多く、そのような人たちの近くで仕事をしたい、という人がいるのがおもしろい現象ですね。
プロダクトデザイナー、ファッションデザイナー、建築、アートなどさまざまなクリエイターの集まりであり、共通して言えるのは皆さん“実直”です。」
続いては、「町田愛の強い人、趣味のように仕事をする人」と回答してくださったBUSO AGORAの長谷部氏にお話を伺いました。
長谷部氏「施設のカウンターでお酒を飲む場でも、仕事の話より町田市の話が絶えないほど、町田市が大好きな人が多いです。『仕事が好調になったら都心へ移る』というよりは、町田市で趣味のように仕事をして、自分のスタイルを確立していく、という入居者が多いですね。
施設としてもそのような方が集まるHUBにしたいという思いがあったので、思い通りの人々が集まってくれました。」
「多種多様(オレ流・私スタイル)」と回答されたRYOZAN PARKの中島氏は、次のようにお話しくださいました。
中島氏「職種も本当にバラバラで、国際色豊かなRYOZAN PARKならではの魅力だと思うものの、あえて言うならば、『世の中はこっちへ向かっているけれど俺・私はこっち! 』というようなオレ流私スタイルが多いです。
RYOZAN PARKの名前の由来は、水滸伝の梁山泊(りょうざんぱく)から来ていて、都を離れた人が人里離れた場所で自分らしくやっていく、という話をベースにしていますが、本当にそのような人たちが集まっていて、自分サイズで起業する入居者が多いですね。」
Q.それぞれのエリアの特性とは?
それぞれのエリアの特性について、「暮らし共存・NORTH TOKYO」と回答されたRYOZAN PARKの中島氏。そして、「生活感・雑多」と回答されたKOCAの茨田氏。お二人の回答からお聞きしました。
中島氏「都心のはずれという土地柄、商店街や銭湯というような生活感がある町並みが特徴なので、暮らしに近いスタートアップができるという長所はあります。」
茨田氏「”生活感・雑多”という意味では、KOCAも商店街のつながりを大切にするために、イベントに商店街の方を招いたり、商店街の空きスペースを活用したりするなどの試みを進めています。
そもそも商店街のお店や町工場も“創業”しているので、町自体に創業の風土が根付いており、自然と入り込めたらいいと思っています。」
「カオス!」と回答されたBUSO AGORAの長谷部氏は、次のようにお話しくださいました。
長谷部氏「さまざまな考えを持った多様性あるエリアですね。BUSO AGORAをスタートする前、魅力的なインキュベーション施設に出会い、『施設づくりは質の高いカオスを作る』と言っている方がいて、その通りだと思いました。
きれいでスマートなものがそろった場所ではなく、アウトローでいろんなものが混ざり合う町だからこそおもしろいものが作れます。落書きもアートに見えるような町だからこそ、猥雑さとアートは紙一重なので、カオスな地域性の良さは残していきたいです。」
それぞれの回答に、地域密着型施設という特性から、皆さん共通点を感じている様子でした。
茨田氏「町の寛容性は新しいチャレンジを受け入れる土壌なので、雑多やカオスは悪いイメージと背中合わせですが、そういう環境が逆にありがたいですね。」
長谷部氏「古いものだけでなく、ChatGPTなど最新のツールは“手段”として活用しながらも、地域に根付いた“ここでしかできない何か”を生み出したいです。」
Q.ウチだけの自慢の〇〇を教えて!
長谷部氏「ウチの自慢は『食』です。食業を母体にした施設だからこそクオリティの高い食をリーズナブルに楽しめるのが武器です。やはり、『コミュニケーションに食は欠かせない』と日々実感します。」
「質量・身体」と回答されたKOCAの茨田氏は、次のようにおっしゃいました。
茨田氏「仮想空間上では質量がなくスピードも速いですが、ものづくりには生身の物体として扱うことが多いので、身体性を意識することに重点を置いています。
いかに身体性も大切にしてビジネスにするかが創業において大事です。」
中島氏「やはり『コミュニティ』ですね。RYOZAN PARKはコミュニティイベントが多く、事業計画を立てるセミナーは行っていませんが、悩みに『それいいね』『これがいいよ』と共感したり背中を押す仲間がいたりすることが、創業を加速させるポイントだと思っています。」
Q.見学したいときの方法は?
見学したいときの方法は、3つの施設ともにホームページから問い合わせができますが、KOCAの茨田氏とBUSO AGORA の長谷部氏は次の方法もおすすめしてくださいました。
茨田氏「KOCAでは毎月1回最終金曜日に“カマタフライデー”という飲み会もしているので、ぜひ参加してみてください。」
長谷部氏「BUSO AGORAはホームページで内覧動画を視聴できるので、イメージをつかんでから内覧会に参加も可能です。」
さいごに
今回は、スタハノツギ#2 「地域密着拠点編」のレポートをお届けしました!
都心にある「Startup Hub Tokyo 丸の内」には、都心ならではのよさがありますが、都心を離れた地域だからこそ活かせる特色があります。
創業して何を生み出したいか、どこで根付かせたいかによって、利用する施設を活用されるのも一つの方法です。
気になる施設があれば、ぜひ問い合わせてみてくださいね。
Startup Hub Tokyoでも見学や無料イベントの参加も可能ですので、ぜひご活用ください!
グラレコでおさらい
レコーダー/ヤマダマナミ(@yamada_graphic)
構成・文/藤田香織
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