スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

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フォロワーの心理知らずにSNS活用は難しい!?

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無料かつスマホ1台あれば始められるSNS。気軽に使えるこのツールも、「ビジネスで効果を出す」となれば途端にハードルが高くなります。

フォロワーが増えない。何を発信していいか分からない。

起業家が陥りやすいこの壁を乗り越えるべく、スタハ丸の内では「ファンになる心理を掴め!起業に役立つSNS活用講座」を開催しました。

イベント前半ではコーチングの専門家が「ファンになる心理」を伝え、後半ではマーケティングのプロが「実践的なSNSの使い方」を教えてくれました。

講師紹介

〈前半〉

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渡邊 佑氏 合同会社Coaching 4U 代表

早稲田大学で障害・神経心理学のゼミに所属。
2009年 KCCSマネジメントコンサルティング株式会社(現・京セラコミュニケーションシステム株式会社)に入社。創業者・稲盛和夫氏考案の「アメーバ経営」のコンサルティング業務に従事。
入社初年度より、最年少でメインコンサルタント・グループ責任者になる。
2014年12月 コーチングの大家ルー・タイスに魅せられ、Tomabechi Institute認定 パフォーマンス・エンハンスメント・コーチになる。
2015年3月 早稲田大学商学研究科ビジネス専攻にてMBA(経営管理修士)を取得。
2016年4月 Coaching 4Uを設立。

〈後半〉

山田 佑氏
株式会社スタートステーション 代表取締役
株式会社フリーカーズ 代表取締役社長
株式会社ILY マーケティング顧問
株式会社Airu PRdirector
株式会社MARUKU PR

熊本県九州学院高等学校卒業、東京の企業へ就職後、フリーターを経て20歳で起業。渋谷に特化した女性用フリーペーパーをつくる。赤文字系雑誌の読者モデルページを企画し、読者モデルブームを牽引。またフリーペーパー事業のかたわら六本木で居酒屋ひなまつりの立上げに参画。2016年よりキャスティング事業を事業拡大し広告マーケティングを一貫して行う会社を設立。

2019年に東京ガールズコレクションを運営する株式会社W TOKYOグループの株式会社フリーカーズ代表取締役社長に就任。
また現在熊本県・八代市・芦北町などと一緒に廃校や空き家を活用したIT企業のサテライトオフィスへの誘致事業・観光プロモーション事業など様々な事業やプロジェクトに関与。

前半 ファン化の前提条件「ラポール形成」~

イベント前半では、ファンになる心理を心理学的視点からお伝えしました。講師の渡邊先生は、“マインドの仕組み”を知り、いかに“上手に使うか”が大切だとおっしゃいます。

渡邊氏「マインドの仕組みは非常にシンプルです。まずは外部情報がインプットされ、それがマインド(脳と心)で情報処理され、最終的に判断や行動としてアプトプットされます。」(下記参照)



渡邊氏「例えば飲食店でパクチーという情報が入ってきたとします。見た目、ニオイ、味などの記憶から、それを美味しいと判断してパクチー料理を注文する人もいれば、逆に避ける人もいる。このように、同じ情報なのに人によって判断・行動は違います。ビジネスをやっていく上では、相手のマインドを上手に動かしていかなくてはいけません。相手から『あなたの商品が欲しい!』『あなたのサービスを使いたい!』といった行動を引き出すためには、マインドの仕組みを知ることが大事です。」

バズマーケティングを仕掛けるには!?

バズ(buzz)という言葉は、ハエなどがブンブン飛び回っているという意味が転じて使われるようになりました。そしてバズマーケティングとは、バズを意図的に引き起こそうとすることをいいます。

企業が「この商品すごく良いですよ!」とCMを打つよりも、一般人が口コミで話題にするほうが信憑性を感じられるので、良い口コミはどんどん拡散されて欲しいもの。それでは、どうすれば自分のツイートが好意的に拡散されるようになるのか?ひとつのキーワードとして、顧客ロイヤルティが挙げられます。この顧客ロイヤルティとは、顧客があるブランドや商品、またはサービスに対して感じる信頼や愛着のことを指し、企業に対する信頼や愛着の大きさを、ロイヤルティが高い(低い)と表現します

そんな顧客ロイヤルティを高めていくには、下記のように2段の前提条件があります。

 

【ロイヤルティ】

   ↑

【カスタマーエンゲージメント(顧客との関係を深めること)】

   ↑

【ラポール(相互信頼の関係)】

 

1つめの前提にはカスタマーエンゲージメント(顧客との関係を深めること)があり、さらにその前にはラポール(相互信頼の関係)があります。バズマーケティングが成功するかは、自分(発信者)と拡散者(顧客・フォロワー)に〝強烈なラポール〟が形成されているか否かです。

バズる前提に〝ラポール〟あり!

渡邊氏ラポールとはフランス語で橋を意味し、主に2者間にある相互信頼関係のことをいいます。このラポールを語る上でとても大事な概念があります。それは臨場空間。脳のなかには情報空間があり、そのなかで特に自分が臨場感を感じている空間のことをいいます。臨場空間という概念が分かりにくい場合は、シンプルに自分の持っている情報だと考えてください。例えばAさんとBさんがいたとして、この2者間に共通する情報がなければ、ラポールは弱いです。しかし、職場が一緒、同級生、同じ電車に乗っているといった場合は、場所を共有しているので互いの臨場感部分が重なり、ラポールが強くなります。」

渡邊先生いわく、このラポールをさらに強くしていくためには3つのポイントがあるそうです。それは下記3つであり、これらをいかに共有するかが重要な観点になるそうです。(下記参照)

①Clear Picture(より鮮明な映像を共有すること)

②Repeat(繰り返すこと)

③Emotion(情動・感情)


渡邊氏「SNSで発信していくなかで、いかにラポールを生むかが重要になります。一方的に発信するのではなく、共感や時間を共有しながらインタラクティブ(双方向)にやりとりしていくことが大事。とはいえ、頑張って発信しているけれど誰にも反応してもらえないことはあると思います。闇雲に発信するのではなく、
マインドの知覚の仕組みを知りましょう。」

マインドの知覚を知ろう! 

渡邊氏「僕らは外から来る情報を視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚といった五感を通じ、それを電気信号に変えて受け取ります。そのときに使われるエネルギーは1秒間に200万bitという、変電所一基分くらいのエネルギー。膨大なエネルギー量なので、脳は受け取った情報を全部処理しません。脳はこの200万bitのうちに自分にとって何が必要か精査し、重要な情報だけを通します。その精査に関わっているのがRAS(網様体賦活系)という情報のフィルター機能で、貴重な情報のみ通す役割をしています。RASを通さなかった情報は心理的な盲点(スコトーマ)となり、見えてない・感じてない情報になってしまいます。そのため、頑張ってたくさん発信しても、相手の脳がその情報を重要と認識しなければスルーされてしまいます。」 

脳は自分にとって重要性の高い情報しか処理しないそうです。それでは、その重要性はどう決まるのか? 

渡邊氏重要性というのは相手次第で、相手の過去の記憶により成り立っています。どういう生活をしてきたのか?どういう価値観を持っているのか?どういう状況にいるのか?そういったものは人それぞれ違うため、自分の発信が全員に刺さることはほぼ不可能です。みなさんは、どういう人にどういうメッセージを届けたいですか?ターゲットを明確にしないと誰のRASにも通れません。ターゲットに刺さる一貫性のある情報を発信することが大事です。」

 

以上、渡邊先生によるファン化の前提条件「ラポール形成」の一部をお伝えしました。後半は山田先生によるSNS実践編です!

後半 ~実践で使えるSNS活用術!~

「SNSで出来ることはいろいろある!」とおっしゃる山田先生。その代表的なものを一覧で見せてくれました。



山田氏「代表的なものは、まず、コミュニケーション。SNSで知り合った人とコメントをやり取りすることにより単純接触効果が生まれ、先ほど渡邊先生もおっしゃっていたラポールを生み出すリピートになります。次にPR・ブランディング・集客。そして情報収集について。2017年のデータでは、Yahooで検索するよりもInstagramでハッシュタグ検索する方が倍になったというデータがあります。昔はググるという言葉がありましたが、いまはタグるという言葉もよく使われています。」

使い方次第で無限の可能性があるSNSは、メディアの種類もたくさんあります。山田先生がそれぞれ特徴をまとめてくださいました。


山田氏「この資料には記載していませんが、Clubhouse(クラブハウス)も今後注目されるSNSだと思います。ClubhouseはアメリカからスタートしたSNSで、グループ通話のように喋ることができる音声のSNSメディア。TwitterやInstagramなど他のSNSメディアと連携できるので、Clubhouseでつながった人がTwitterをフォローしてくれるということもあります。」

SNSを使う目的を決める 

山田氏「仕事でSNSを活用するなら、使う目的を決めることが大事です。店舗運営なら集客として、コーチング・コンサルティングなどの講師業ならセルフブランディングとして、お客様とのやり取りをしたいならコミュニケーションツールとして。また、これらの目的と相性の良いメディアも紹介します。一概にはいえませんが、集客に向いているのがYouTube・Instagram・TikTok・ブログ。コミュニケーションに向いているのがTwitter・Facebook・LINE・メルマガです。セルフブランディングは、このどちらにも向いています。」 

Instagramを学ぼう!

山田氏「次は実践的な内容に入りますが、全てのSNSについてお伝えする時間がないので、今回はInstagramに絞りました。さて、各SNSメディアには運営会社が出しているコンセプトがあります。Instagramのコンセプトは、昔は〝写真で世界と繋がろう〟でしたが、いまは〝大切な人や大好きなこととあなたを近づける〟になっています。このコンセプトをヒントに、Instagramをビジネスにどう活用していくか、コンセプトやターゲットなどを考えてみましょう。渡邊先生のお話しにもありましたが、人は自分の興味ある情報しか脳に入ってきません。そのため、ターゲットを絞れば絞るほど届きやすくなります。」 

ワークシートを埋めてコンセプトを固めてみましょう!

※見本※


Instagramのプロフィールを作成しよう!

山田氏「Instagramでは、プロフィールが一番大事です。商品・サービスの顔になる部分なので、しっかり作り込まなくてはいけません。そのポイントとして4つあげられます。」

 

①一瞬で分かりやすいアイコン画像

②検索されることを意識したハンドル名とハッシュタグを記載

③アカウントでどのような情報を発信していくのかを説明文にて分かりやすく明記

④サイトのURLなどを記載し、詳しく知りたい人を誘導

 

山田氏「この他にも以下のようなポイントがあります。」(下記資料)


プロフィールを決めたら、いよいよ発信です。山田先生は人気のインスタグラマーの投稿を実例として、反響のある発信ポイントを教えてくれました。

フォロワー数1万人以上いるファイナンシャルプランナーの方は、お金のことや節約方法などをテキストコンテンツで投稿。さらに赤ちゃんのキャラクターも作り、スワイプ記事でどんどん読ませる流れからお客さんへと繋げているようです。また、山田先生自身がお仕事で携わった居酒屋のInstagramも紹介してくれました。飲食店ということもあり、料理の写真は一眼レフで撮っているそうです。料理のメニュー開発も、お客さんが思わず写真を撮りたくなるようなユニークなものを。その他にもスタッフの顔を見せたり、シーズン毎に入荷するお酒を紹介したりしているそうです。

山田氏「発信は定期的にすることが大事です。自分が発信することも大事ですが、誰かが投稿しているものに対してコメントすることも重要。人が投稿しているものにアクションを起こすことは、自分のSNSに跳ね返ってくると思ってください。先ほど渡邊先生がお伝えしたように、ラポールを形成するにはリピートが必要。定期的なコミュニケーションで信頼関係を構築していきましょう。」

以上、山田先生による「実践で使えるSNS活用術」の一部をご紹介しました。

 

山田先生は「SNSにコツはあるが正解はない」とおっしゃいます。イベントレポートの最後に、SNSに躊躇している方に向けて山田先生の応援メッセージをお送りします。



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