スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

イベントレポートや先輩起業家のインタビュー、コンシェルジュに聞く起業相談でよくある相談事例など、 Startup Hub Tokyoのおすすめ情報が満載のWEBマガジンです。ぜひチェックしてください。

スタハマガジン
スタハマガジン

カテゴリー

SNSの発信力を高めるには「インサイト」の理解から!

f:id:sht_maru:20211106120239p:plain

「SNSをやったほうがいいことは分かっているけれど、正直どうしたらいいか分からない」。「インスタやYouTubeの効果がイマイチ…」。そんな方は「インサイト」に注目してみては?
インターネットのマーケティングに詳しい株式会社サイバーリーチ創業者の石出裕美さんがインサイトの見方とSNSでの発信力を高める方法を伝授した9/23開催のオンラインイベント「シンプルに発信力を高める方法~あなたのSNSを読み解くインサイト分析~」をレポートします。

講師

f:id:sht_maru:20211106120633j:plain

石出 裕美氏 (株式会社サイバーリーチ 代表取締役)

大学時代は信州大学経済学部で経済、法律、憲法学を学ぶ。卒業後は都内大手興信所に勤務、スタートアップ事業担当として従事。新規事業並びに一般社団法人のマーケティングを統括。2020年6月に中小企業のインターネット集客を支援する株式会社サイバーリーチを創業。ウェブマーケティングを軸に、コンサルティング、ウェブサイト制作、広告運用代行などを行っている。パートナー企業、インターン、副業メンバーとともに、複数の案件を進行中。2020年12月よりNPO法人Talkingに参画、マーケティング領域のアドバイザーを兼務。

よく聞くインサイトって何?

「インサイト」という言葉を初めて聞く人もいるのではないでしょうか。「インサイト」とはマーケティング用語で、顧客の行動に無意識に影響を与える要因のこと。つまり、直感的に商品を買いたい、利用したいと思わせるための「何か」のことで、マーケティングにおいてとても重要な概念です。
実はSNSやYouTubeなどには、視聴者やフォロワーなどの傾向をグラフ化する機能、つまりインサイト機能と言われているものがあります。
今回の講座では、このインサイト機能の見方から活用方法まで石出先生が解説してくれました。

なぜ、インサイトに注目すべきなのか?

「SNSに投稿するとハートや“いいね”がついたり、逆にコメントが全然つかなかったりと目に見える反応がありますが、実はそれは氷山の一角、全体のほんの一部に過ぎません」と石出先生は話します。この見えていない部分を見るのが管理画面(インサイト画面)。難しく考えず、上手に活用することでSNS発信の改善策に大いに役立てられるそうです。

f:id:sht_maru:20211106115800j:plain

石出先生「たとえば、今月はいいねが多かった、などは体感で分かりますね。でも、インサイト画面では推移や投稿の反応の違いを比較することもできます。
何に反応がいいのか分かれば戦略が立てられます。また、いいねの反応はないけど、実は閲覧者がちょっとずつ増えている、ということも分かります。反応がないと一口に言っても、本当にだれにも知られていないのか、実は見てくれている人はいるのかとでは大違い。改善策も変わってきます。そのためにもインサイト画面で見えない部分を確認することが重要なのです。」

カスタマージャーニーを意識する

次に石出先生はカスタマージャーニーの重要性について解説。カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスへの関心を持つことから購入までのプロセスのことです。

石出先生「第一のフェーズは認知(知ってもらう)です。SNSならハッシュタグがありますね。たとえば、“#丸の内カフェ”と投稿すれば、ハッシュタグでカフェを探す人に発見されやすくなります。そして、この見込み客に関心を持ってもらうためには、投稿の内容が決め手になります。女性がターゲットの店なら女性向けの画像を投稿するという具合です。
関心の次のフェーズは比較検討ですが、実際にどの店に行くかはホームページなどで比較して行動に移るわけです。このようにSNSで投稿する際は、カスタマージャーニーの流れを常に意識しておくとよいと思います。」

f:id:sht_maru:20211106115744j:plain

さてSNSには、もうひとつ拡散という可能性が秘められています。
石出先生「この店よかったとか、このサービス便利だったなどの投稿がリツイートで拡散したり、お客様の投稿写真が他のだれかの認知になったり、関心→比較→行動の一連のサイクルにつながるのがSNSマーケティングの特徴です。
ただし、拡散がどのフェーズで発生するかは決まっていません。各フェーズで広がる可能性があるため、そこも意識するといいと思います。」

みんなが使っているSNSを調査!

ここでちょっとブレイク。参加者のみなさんがどんなSNSを使っているかアンケートをとってみました。以下、ご紹介します。

普段使っているSNSは? 

Twitter 45%
YouTube 16%
Instagram 58%
Facebook 52%
TikTok 3%
その他 12%
活用していない16%

これから活用していきたいSNSは? 

Twitter 44%
YouTube 47%
Instagram  51%
Facebook 32%
TikTok 23%
その他 9%

以上の結果となりました。
即時性と拡散性に優れたTwitterや、ハッシュタグ検索が盛んでトレンドや流行のヒントを求めるInstagram、さまざまな情報を動画として発信できるYouTubeなどが人気のようです。

インサイト画面を見てみよう

さて、インサイト画面はどのように見るのでしょうか? 石出先生が具体的に説明してくれました。

Twitterアナリティクスの場合

ホーム画面より

  1. 「もっと見る」を選択。
  2. 「アナリティクス」を選択。初めて使う人は「アナリティクスを有効にする」を選択すると見られるようになります。

● 特徴&アドバイス

  1. グラフなので一目瞭然:とびぬけている部分に注目し、何が良いか悪いかの分析を。
  2. インプレッションに注目:広告表示回数の事。ユーザーにどれだけ見られているか、ツイートごとに数値が確認できるため「もっとこっちに寄せていこう」とか「これはあまり反応がなかった」など具体策がとれます。
    インプレッションが少ないと、あまり見られていないわけですが、投稿時間帯を変えたり話題になっているものにタグ付けしたりするのも一案。
  3. エンゲージメントを高める工夫を:インプレッションを見た人の反応を見るのがエンゲージメント。たとえば、話題選びがよくてインプレッションが伸びたとしても、その後にプロフィールなどを見てもらえない、クリックされない、いわゆるスルーされるとエンゲージメント率が低くなります。これは、タグ選びや話題選びはよいけど、ツイート内容が興味をひくものではなかったということです。
  4. 時間ごとのクリック数が確認できる:だれも見ていない時間ではせっかく投稿してもリアルタイムでは見てもらえません。時間をずらすなどの対策がとれます。
YouTube studioの場合
  1. ホームの右上のアカウントアイコンをクリックすると一覧が表示される。
  2. 「YouTube Studio」を選択。
  3. 左側のアナリティクスを選択すると画面に入れます。

● 特徴&アドバイス

  1. 自身の投稿内容の反応比較ができる:視聴層の年齢や地域、時間帯まで簡単にリサーチできます。平均視聴時間も分かるので動画ごとの比較もできますが、動画は情報量が多いので単純に比較できないという面もあります。
  2. 視聴層が他に興味あるものが非常に分かりやすい:チャンネルに登録している人が他にどんなものに興味があるのかも分かります。アクセスの時間帯も分かるので、コンサルの方や物販の方なら、実演に最適な時間のヒントになります。
    地域のデータを取っておくのもおすすめです。広告を絞って出せるためコストパフォーマンスに影響してきます。
Instagramのインサイトの場合
  1. スマホから見て、アカウントページの三本線のアイコンを選択。
  2. インサイトを選択。
  3. 画面が出てきて、投稿ごとに見ることができます。
Facebookのインサイトの場合

Facebookのインサイト画面は、いいねが30件以上あると見られるようになります。
Facebookページのメニューからインサイトを選択すると一見ることができます。
ページビュー、アクションなど、項目ごとにグラフが用意されていますのでそちらを確認することができます。

TikTokのインサイトの場合
  1. プロフィールページの三本線アイコンを選択。
  2. クリエーターツールを選択。
  3. インサイトを選択。

● 特徴&アドバイス
フォロワー100人を超えると性別、地域、アクティビティが見えるようになってきます。
ターゲットは男性だったけど女性のほうが多かったとか、東京だけの店舗なのに遠くの人が見ているなどが分かれば、もう少し地域性をだそうかな、などの修正も有効です。
時間の関係上、Instagram、Facebook、TikTokの説明が簡単になりましたが、何を見て改善すべきかはTwitterで説明したこととだいたい同じですので、ぜひ活用してみてください。

運用のコツとヒント

後半では、運用のコツやヒントを石出先生が伝授。まずは、運用前。まさに、これからSNSをやろうと思っている方へのアドバイスです。

f:id:sht_maru:20211106115739j:plain

石出先生「私は、競合でうまく回っていそうなアカウントを3つ見つけてくださいとアドバイスしています。それを参考にすると、どんな発信が反応を得られやすいのかが見えてくるので、それを踏まえKPIの設定や運用方針を決めるとよいと思います。
また、アカウントのフォロワー数も、一番うまくいっているアカウントを目標にし、自分は一か月で何人、一年後は何人、とすると目途が立つと思います。
コツは、運用方針を決めたらぶれずにやること。そのほうがいい結果につながることが多いものです。」
 
次に運用中のアドバイスもしてくれました。まず文章! 読みやすさを意識することが大切で、漢字、ひらがな、数字のバランスをよくする、箇条書きにすることも有効だそうです。
文章の次は画像。石出先生は「使える画像がそんなにない」という相談をよくされるそうですが、一つの写真を複数使ってもOK。ただしテキストを変える、間隔をあけるなどのひと工夫を。伸びているアカウントの画像構図を参考にするのも一案です。
また、運用方針(ブランディングなど)を加味した上で投稿画像を決めることも重要だとか。できるだけ一貫性を持たせた画像を使うほうが、SNSを開いた時に統一感が出るため「こういうアカウントなんだ」と認識してもらえるようになります。動画も同様にメッセージに一貫性を持たせるといいそうです。

f:id:sht_maru:20211106115755j:plain

そして、投稿後はインサイトの確認です。反応があるだろうと投稿しても意外とない時もあります。しかし、反応がないこともデータとしては貴重。改善点を見つけるための材料になります。
石出先生は「せっかく一生懸命やっているSNSなのですから、ターゲットに確実に届いてほしい。そのためにはインサイトが鍵を握っています。
インサイトを活用し、Plan(計画)、Do(実行)、Check(チェック)、Action(改善)サイクルの手法で、みなさんのSNSの発信力を高めてほしいと思います。」と強調して話していました。

以上、イベントレポートをお届けしました。

構成・文/馬渕智子

 

\イベントをチェックしたい方はこちら/

startup-station.jp