コンシェルジュ通信では、スタハで実施しているコンシェルジュ起業相談の事例をもとに、少し発展的なトピックスをご紹介します。
今回の担当は、澤井泰良コンシェルジュです。
コンシェルジュ 澤井 泰良
大学卒業後、日本で最初のベンチャーキャピタルであるエヌイーディー株式会社(現 株式会社安田企業投資)に入社し、以降20年間一貫してベンチャー投資に関わる。パソコン通信の時代から、ITベンチャーの勃興、ITバブル崩壊、リーマンショック、Web2.0~3.0、クラウドから現在までの歴史の生き証人でもあり、自身も第二種情報処理技術者の資格を持つ。IT分野以外でも、消費者向けサービス分野、モノづくり分野での投資実績が豊富。 2012年に独立し、株式会社グランツカンパニーを設立。現在は補助金申請支援を中心に、中小~ベンチャー企業の経営コンサルティングを手掛けている。
クラウドファンディングの種類、成功のポイントや気をつけたいことは?
Q:雑貨やオリジナルのファッションを売る店の開店に向けて、クラウドファンディングでの資金調達を検討したいのですが、選び方や注意点などは?
A:クラウドファンディングの種類、成功のポイントや気をつけたいことをお伝えします。
【1】クラウドファンディングの仕組みと種類
サイト上でプロジェクト実行者が必要な資金を募り、多くの閲覧者(会員)から支援してもらう資金調達で、サイト運営社側には、集まった資金から手数料(10~20%が相場。各サイト規定による)を支払います。資金の支援方法によって下表のような分類と特徴があります。
<向いているプロジェクト>
・寄付型:自治体や社会福祉系の団体など非営利の事業プロジェクト
・購入型:商品の製造、店舗の開設、コンテンツの制作等のプロジェクト
・融資型:実績のある事業や不動産融資(返済能力が要求されるため)
・投資型:成長性や、売却の機会のあるプロジェクト
今回の店舗開業には、購入型クラウドファンディングが適していると言えるでしょう。
【2】代表的な購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングサイトは数多く存在しますが、代表的なところでは「READY FOR」、「CAMPFIRE」、「MAKUAKE」があります。まずはこのような実績が多い総合型のサイトをお薦めします。
【3】成功のポイント
◆プロジェクトの魅力・特徴の伝え方
支援が集まるプロジェクトには、ワクワクする感じや、魅力的なリターンがあるものが多いと感じます。多数のプロジェクトの中から、支援したいと感じてもらえるような、魅力的で的確な伝え方が重要です。
◆支援者へのリターン(支援の対価となる商品やサービス)
支援者のモチベーションにつながる、プレミアム感やレア感のあるものを企画しましょう。
◆情報発信・拡散
サイトに掲載しただけでは不十分。周囲への告知、SNSでの発信、拡散力のある知人がいればその方にも拡散をお願いしましょう。
【4】気をつけたいこと
■入金までにかかる期間を、最低3ヶ月は想定して計画しましょう。
着手:サイトへの掲載までに、掲載文章の作成・審査などの時間を鑑みて約1ヶ月
資金調達:サイト上の掲載期間は大体1ヶ月前後~それ以上が現実的
入金:プロジェクトが成功しても実際の入金までに1ヶ月ほどかかる
■トラブルやリスクの回避・対応のための対策や必要事項の記載を万全にしましょう。
<良くあるトラブルやリスクの例>
・リターンの質や内容に関する問題
・資金調達を達成した後のプロジェクトの失敗や中止
・アイデアを公開することによる、他社(者)からのアイデア盗用のリスク
【5】クラウドファンディング補助金
■クラウドファンディングで資金調達をした場合、調達金額の10~20%の手数料がか
かりますが、東京都ではこの手数料の助成(手数料金額1/2もしくは2/3)を行って
います。
申請期間になると、東京都産業労働局のホームページに詳細情報が掲載されます。
▷東京都産業労働局のホームページはこちら
クラウドファンディングは、アイデアや視点に光るものがあれば、法人・個人に関わらず、またこれまでの実績がなくとも、成功する可能性があり、創業時の資金調達と
して適しています。また、検討している商品やサービスに対する反応を測る機会としても活用価値があります。これは!と思うプロジェクト、事業のアイデアがあれば、ぜひチャレンジしてみてください。
コンシェルジュ相談では、起業にまつわる様々な課題をご相談者とディスカッションし、客観視点からアドバイスを行います。ぜひご利用ください!