スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

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NPO法人と一般社団法人の違いは?

コンシェルジュ通信では、スタハで実施しているコンシェルジュ起業相談の事例をもとに、少し発展的なトピックスをご紹介します。

 

今回の担当は、北原有機夫コンシェルジュです。

コンシェルジュ 北原有機夫

大学卒業後、三井銀行(現:三井住友銀行)に入社。おもに法人融資、審査部門を担当した後、鐘紡株式会社(現:クラシエホールディングス株式会社)へ出向し財務、事業部管理等を担当。その後、半導体製造装置メーカーの株式会社新川に転じ、経営企画部門で、東証1部上場準備及びIR等を担当した。新川の上場後は、株式会社二ュー・フロンティア・パートナーズ(現:株式会社AGキャピタル)に転じ、バイオ領域を中心としたベンチャー投資ならびにファンド運営に携わる。2016年独立し、北原事務所(行政書士・中小企業診断士)を開業。NPO法人設立や建設業の許可申請等の支援を行いながら、顧問先企業の株式公開サポートにも携わっている。

NPO法人と一般社団法人。何が違うの?設立にあたって気をつけなければならない点は??

子育て支援を目的としたソーシャルビジネスを立ち上げようと考えているのですが、組織の形態をNPO法人と一般社団法人のどちらにすべきか迷っています。何が違うのか、設立にあたって気をつけなければならない点を教えてください。

【1】「一般社団法人」と「特定非営利活動法人(以下NPO法人)」の違い

どちらも、営利性よりも社会性を大事にする事業に向いている組織形態ですが、設立手続きや規定等に、下表のような違いがあります。
まずはこれを理解しましょう。

【2】設立にあたっての注意点

①一般社団法人の場合
税制優遇を受けたい場合は、下記2つのタイプいずれかの非営利法人とする必要があります。
a.徹底的非営利型:事業で稼いだ利益である剰余金や組織を解散する場合に残った残余財産を分配しない旨を定款で定めている場合
b.会員親睦交流目的型:会員の相互支援、交流、親睦を活動目的とし、収益事業を行っていない場合

②NPO法人の場合
事業内容が、下記を満たすことが必要です。詳しくは、内閣府のNPO認証制度のページで確認しましょう。
・特定非営利活動促進法で定める20の非営利活動及び「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する活動」に該当すること
・組織や活動が、所轄庁の認証基準を満たしていること

▷内閣府ホームページ 認証のための手続きPDFはこちら

【3】収支についての理解は重要

ソーシャルビジネスの場合、サービスを受ける人が社会的弱者で十分な対価が得にくかったり、商品やサービスに社会的価値はあっても価格が安かったりなど、得られる収入では支出を賄いきれない場合があります。まずは事業計画をしっかり立て、収支が合わない場合は、その不足分をどう補うか計画する必要があります。

収支不足の解決には、支出の見直しをすることに加えて、社会性の高い事業とは別に収益性の高い事業を行う、例えば行政(地方自治体等)から事業を受託する等、収入の多様化を検討しましょう。
 (注意点)NPO法人が、特定非営利活動以外の事業を行う場合、制約があります。

【4】資金調達について

一般社団法人やNPO法人においては、法人の設立時に出資金が不要とされているため、創業時の資金をどう確保するか考える必要があります。
主な資金調達方法としては、以下の方法があります。

①会費…会員からの入会金や会費等、安定した収入となります

➁補助金・助成金…必ずもらえるわけではなく、後払いとなる場合があります
 (注意点)一般社団法人の場合、対象外となっている補助金があります(東京都創業助成金、小規模事業者持続化補助金創業枠等)

➂寄附金・協賛金…寄附は不安定な収入なのであまりあてにしないことです

④借入金…日本政策金融公庫、金融機関等で取り扱っています
 (注意点)一般社団法人の場合、信用保証協会の保証対象外となるため、信用保証協会の保証が必要な自治体の制度融資(創業融資等)は原則、利用できません

➄クラウドファンディング…寄付型、購入型があります

⑥基金制度…一般社団法人に限って認められた資金調達手段です
 (注意点)基金制度は、定款に手続方法を定める、利息は付けない等の決まりがあります

<参考>
~認知の向上や支援を募りたいとき、知っておくと便利!~
Googleが非営利団体向けに提供する『Google Ad Grants(グーグルアドグランツ)
NPO法人、一般社団法人(徹底的非営利型)が、通常は有料である検索広告を月に1万米ドル(およそ100万円)まで無償で掲載できるものです。

【5】どちらの組織形態をえらぶか?

下記を判断基準として検討してみましょう。

①活動内容
NPO法人の定める20の活動領域と「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動」という定義に該当するかしないか。例えば、会員や構成員相互の利益や特定の個人、特定の団体の利益を目的とする活動の場合は、NPO法人ではなく社団法人が適切です。

②事務手続きの手間、外部支援、活動の自由度などのメリット、デメリット
【NPO法人の場合】
 〇メリット:補助金、税制優遇などのサポートを受けやすい
 ▲デメリット:設立申請から法に沿った組織運営や所轄庁への報告義務等の手間がある
【一般社団法人の場合】
 〇メリット:NPO法人よりスピーディーに設立でき、活動の自由度が高い
 ▲デメリット:設立時に費用がかかる。設立後の補助金などのサポートを受けにくい

それぞれのメリット、デメリットを、進める事業や組織の特色と照らして検討しましょう。

NPO法人、社団法人の設立や運営について、わかりにくい点がありましたら、コンシェルジュ相談をご利用ください。

コンシェルジュ 北原 有機夫

 


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