スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

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地域活性につながる事業をしたい。どのような点に留意すればいい?

コンシェルジュ通信では、スタハで実施しているコンシェルジュ起業相談の事例をもとに、少し発展的なトピックスをご紹介します。

今回の担当は、桑名隆滋コンシェルジュです。

コンシェルジュ 桑名隆滋

1983年に法学部を卒業し、国内IT大手メーカーに就職。鉄鋼業界を顧客とするシステム営業に12年間従事。後、社内ベンチャーに出向し6年間、事業開発や資金調達等を経験。2003年以降、大学の研究開発シーズを事業化する再生医療系ベンチャー2社の代表取締役に就任し、創業期を担った。内1社は後継社長の下、JASDAQグロース(当時)に上場、他の1社は大手化学メーカーに買収された。東日本大震災では、公益社団法人の嘱託として、大手飲料メーカーが資金拠出するプロジェクトの事務局機能を引き受け、岩手、宮城、福島沿岸部の農業者を支援する活動を通じて、被災地の復興応援を行った。2014年、株式会社オフィス・マルベリーを設立し、農業者と起業家への支援を通じ地域活性化に寄与できる事業に取り組んでいる。

地域活性につながる事業を始めるときのポイントは?

地域活性化ビジネスに取り組みたいのですが、どのようなことに留意して取り組むと良いでしょうか?

先ず、あなたの考える地域活性化とは何か、これをハッキリさせましょう。

私は「人口増加」に尽きると考えています。人はオカネの流れに沿って移動するので、地域から出ていくオカネを減らし、入ってくるオカネを増やすことが基本戦略。オカネを惹きつけるのは、資源や資産であり、地域の観光資源、一次産業、不動産を活用しないのは勿体ないと考えています。

【1】地域活性化ビジネスで大切なこと

1.何をやるかよりも、誰とやるか

ここが重要だと思います。その土地にいる優れた才能との巡り合い、あなたとウマの合う人物との出会い。これがあると、地域が鮮やかに見えてきます。

例えば、自治体、地域の金融機関、非営利法人、任意団体、地方の大学等々で、その地方のために頑張っている方々に会いに行きましょう。どうすれば会えるか、これを考えるのが第一歩です。また、現地を訪問し、飲食店、土産物店で店員さんやご主人と会話したり、一次生産者の話を聞いたりすることも有益です。代々続く農家や漁師さんは、土地に精通している。日曜市や漁港の市場に通いましょう。親しくなれば人を紹介してくれるはずです。

2.どの地方を選ぶか
熟知の地域がなければ、最初は、移入者が多い地域が良いと思います。
地域おこし協力隊の活動をリサーチしましょう。

更に、総務省のサイトで、津々浦々をリサーチしましょう。
総務省|地域力の創造・地方の再生

また、見聞を広めましょう。地方に本社を置く研究開発型スタートアップから独立した企業が100人の雇用を生み人口が増えている地域や、都市部から一時間の温泉の街道沿いに都市部からの移住者が増えている地域があります。そういう地域に気付いたら、出かけてみましょう。

3.地域の課題を知っておこう
地方自治体の公式サイトで、助成事業や補助金を調べてみましょう。当地の課題がよくわかります。

4.地域出身の事業家を知ろう
当地に本店のあるビジネス、当地出身の経営者を調べましょう。
そんな大先輩は、あなたの心強いメンター、エンジェルかも知れません。

【2】地方活性化ビジネスのコツ

1. 当地のもので間に合わせる
ドラム缶をバーナーで焼き切って即席の肉焼き窯を作って、遠来の客をもてなした農家がありました。都市部はイケてる商品やサービスは多いですが、それを買うとオカネが都市部へ出て行ってしまいます。なるべくなら当地で工面する、これがコツの一番目です。

2.土地の値段を把握する
大きな土地屋敷を「公道に通じる私道の工事込み800万円で買わないか」という提案を受けたことがあります。「老後資金2,000万円時代に対抗し、トカイナカ(都会と田舎の中間的な場所)に住むことを選んだ」経済アナリストがいらっしゃいます。不動産の値段は、当地の生活コストの中でも都市部との開きが最も大きい費目。ビジネスの価格設定にも影響は大きい。しっかり押さえましょう。

3.地図を作る
戦国武将ではありませんが、地図があってこそ戦略が立つ。現地で把握した情報(交通、本籍人口、居住人口、地価など)を記入した、ご自身の地図を作成することをおススメします。横軸に経度、縦軸に緯度をとって、表計算ソフトを使ってまとめれば十分。次図は全国版ですが、市区町村レベルへも応用できます。

4. 当地に合わせた施策をつくる
地方は全部違う。全国一律の施策は通用しにくい。当地ならではの施策を立案して下さい。

 

古来、米を作る為には集落のチームワークが必要でした。このチームワーク維持の為に生まれた様々なしきたりが、冠婚葬祭や共有地での労働における家の役割などを決めてきたのです。そんな地域のチームが新参の仲間を迎えるときは慎重です。これに不条理なものと反発するのではなく、その由来に思いを馳せながら、交流の仕方を考えて欲しいと思います。

しきたりの根底には、「一次産業が全部撤退したら食を失い人は生きられない」という観念があるように感じます。従って、『生産の持続』というコンセプトを持てば、しきたりと共生できると思います。そこから、日本ならではのローカルベンチャービジネス、効率性よりも持続性を重んじるベンチャービジネスが幾つも成立してくる、そんなどこか懐かしい未来を想像しています。

 

コンシェルジュ 桑名 隆滋


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